同時雌雄同体ウミウシの使い捨てペニスとその補充の研究
志賀 向子教授、関澤 彩眞(後期博士課程大学院生)らの論文「同時雌雄同体ウミウシの使い捨てペニスとその補充 (和訳)」に Nature,Scienceの各誌が注目
大学院理学研究科生物地球系専攻後期博士課程3年の関澤彩眞さんたちにより、同時雌雄同体動物のチリメンウミウシが毎交尾後にペニスを自切し、その約24時間後には再交尾可能になるという非常に特異な配偶行動が発見され、Biology Letters (Royal Society Publishing) に掲載され、海外メディアでも大きく取り上げられました。
ウミウシを解剖して生殖器官の形態観察を行ったところ、このウミウシは少なくとも交尾三回分以上に相当する長さのペニスを、体内にコイル状に圧縮して準備していることがわかりました。このようにペニスを「使い捨て」にして繰り返し交尾を行う動物は他に例をみません。さらに、自切したペニスの表面は無数 の逆トゲに覆われていて、その逆トゲに精子塊が付着しているのも観察されました。この精子塊の存在は、交尾相手の体内に既に貯蔵されている、以前の交 尾個体由来の精子が掻き出されている可能性を示しています。